2019年7月18日(木)14:30-17:00

第16回 フォトニクス・イノベーションセミナー異種材料集積フォトニクスとナノ構造フォノンエンジニアリングの最新動向

東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構では、フォトニクス・イノベーション共創プログラムを推進しています。 本プログラムは、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)プロジェクト「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術」に関わる成果普及と人材育成を目的としています。
フォトニクス・イノベーションセミナーでは、人材育成の一環ととして光電子融合科学技術の基礎からシステム応用に至る技術について、気鋭の研究者による講義形式でわかり易い解説を提供しています。今回は、異種材料集積技術を用いたシリコンフォトニクスの新展開とナノ構造によるフォノン制御の物理とその応用を取り上げます。

開催日 2019年7月18日(木)14:30-17:00
開催場所 東京大学・駒場リサーチキャンパス 生産技術研究所An棟3F 大会議室
アクセス:https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/access/access.html
キャンパスマップ: https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/access/campusmap.html
主催 東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構
共催 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)
協賛 一般財団法人 光産業技術振興協会(OITDA)
参加費 無料

対象

光技術者および関係の社会人、大学院・学部学生

参加者数

34名

プログラム

14:30 開会挨拶

荒川泰彦(東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 特任教授)

14:35 講義

「化合物半導体異種材料集積によるシリコンフォトニクスの新たな展開」

松尾慎治(NTT先端集積デバイス研究所 上席特別研究員)

15:35 講義

「フォトニクスからフォノニクスへ ~ナノ構造を使った高度な熱流制御~」

野村政宏(東京大学生産技術研究所 准教授)

16:35 全体討論

概要

2019年7月18日(木)に、第16回フォトニクス・イノベーションセミナー(テーマ:『異種材料集積フォトニクスとナノ構造フォノンエンジニアリングの最新動向』)を開催いたしました。産官学の多様なセクターから34名の参加者がありました。今回は、異種材料集積技術を用いたシリコンフォトニクスの新展開とナノ構造によるフォノン制御の物理とその応用についての講義が行われました。

まず、NTT先端集積デバイス研究所上席特別研究員の松尾慎治様より「化合物半導体異種材料集積によるシリコンフォトニクスの新たな展開」と題して、NTTにおける化合物半導体フォトニックデバイスの異種材料集積に関する最新の研究開発動向についての講義が行われました。シリコンフォトニクスにおける課題とその解決を目指すアプローチの解説に続いて、特徴的な横電流注入埋め込みヘテロ構造を有するメンブレンレーザやマッハツェンダー変調器の異種材料集積などの成果が紹介されました。特に、データセンター内あるいはボード内チップ内光インターコネクション用途に向けたレーザ集積に対するメンブレンレーザの優位性について、性能・機能の観点から丁寧な解説がありました。

続いて、東京大学生産技術研究所准教授の野村政宏先生による「フォトニクスからフォノニクスへ ~ナノ構造を使った高度な熱流制御~」と題する講義が行われました。研究背景の紹介およびフォトニクスとフォノニクスの類似性・相違点の説明に続いて、Si二次元周期的ナノ構造(フォノニック結晶)を用いたフォノンの波動性に基づく熱伝導率制御、Si薄膜ナノ構造による固体集熱などの研究成果について解説がありました。いずれもフォノンの性質(波動性、平均自由工程内での弾道的輸送特性)を巧みに活用した工学的アプローチとして、フォトニクスとの比較という観点からも興味深い内容でした。さらに、環境発電素子への応用に関して現在進行中の産学連携の取り組みについて紹介されました。

質疑応答では、いずれの講義でも予定時間を超過して熱心な議論が展開されました。NEDOプロジェクト「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術」と深く関わるシリコンフォトニクスはもとより、比較的新しい学術領域であるフォノンエンジニアリングに対しても、広い意味でのフォトニクス関連分野の展開として高い関心が寄せられていることが伺えました。フォトニクス・イノベーション共創プログラムでは、今後とも光電子融合科学技術の発展に資する幅広い分野のセミナーを企画していきますので、奮ってご参加ください。

PAGETOP